交通事故によるケガは初期の症状も問題ですし、その後の後遺症も心配です。
交通事故でのケガと通常のケガの違い
交通事故でのケガと通常のケガとでは、交通事故でのケガの方が後遺症が多くみられる傾向があります。衝撃の違い・外力の違いが関係しています。
時速40㎞の車が壁に衝突すると6mの高さ(ビルの2階)から落ちるのと同等の衝撃です。時速80㎞だと、4倍の24mの高さ(ビルの8階)から落ちるのと同等の衝撃です。
みなさんどう思われますか?階段を踏み外すことや運動中に人とぶつかるより、はるかに強い衝撃(運動エネルギー)が身体に加わります。
交通事故でのケガと通常(自然発生のケガ)との差はこの運動エネルギーの差となります。
運動エネルギーの違いが身体に何を起こすのか?
身体は日常的な衝撃を筋肉や靭帯によりある程度吸収・いなすことができます。
しかし、自動車事故の様な大きな運動エネルギーでは、いくら屈強な人でもその衝撃を吸収することができません。
身体が強い衝撃が加わると、吸収・いなすことができずに、外傷をおこします。それも、深部が損傷します。※症状状態によって違いはあります。
むちうちの一種で自律神経症状がみられる『バレー・リュウ症候群』などは深部損傷の代表的な外傷です。
バレー・リュウ症候群は交通事故独特の外傷で、大きく首を揺さぶられた際に、深部の神経である自律神経根が損傷するためにおこります。この外傷だけでなく、深部の筋肉や靭帯の損傷も往々にしておこることは充分あり得ます。
このような深部の損傷では、痛みを感じにくい傾向があります。それは痛みを感じる痛覚神経があまり存在しないためです。
深部損傷は、痛みが感じにくいが、重要な神経や身体を支える組織が損傷するために、事故当初は症状が軽症にみえても後遺症としてみられます。この深部に損傷をおこすことが、通常のケガとの大きな違いです。
治療の重要性
交通事故でのケガの中には、通常おこりえない症状がみられることがあります。大きな運動エネルギーが身体に加わるために、深部の損傷を起こしているためです。
通常のケガでは、痛みや運動機能の回復に注視しますが、交通事故でのケガはより深部の影響を考えなければなりません。
家で例えるならば、外壁に物が当たれば壊れます。柱までの損害はよほどの衝撃でなければ影響はありません。しかし、地震ではどおでしょう?家自体が大きく揺さぶられるために、柱の状態も気になります。家は、場合によっては交換が可能かもしれませんが、身体はそうはいきません。
身体の深部の損傷は、時には骨格のゆがみを改善させ、あるべき状態にして治癒を促す必要があります。身体の状態により治療法も変える必要があります。
痛みや自覚症状に特徴もあります。これは身体の深部に影響を与えたためです。時には初期の症状が弱く表面化しません。症状が軽いために治療をおろそかにすることで、後々に症状がでることがあります。肩こりや頭痛・めまい・不眠など交通事故が起因したと思われる症状がおこります。
初期の治療をしっかり行うことは、後遺症の予防としての意味もあるのです。
治療費について
交通事故に合い、被害者であれば自賠責保険が適応されます。その場合は治療費が自賠責保険でみてもらえるため、0円となります。自賠責保険は事故の程度と症状の程度により治療が可能な期間が変わります。
単独事故の場合は、健康保険の適応となりますので、窓口負担が必要となります。
これは、自賠責保険は被害者の救済を目的としているために単独事故では健康保険で治療を行います。
後遺症については、事故から数カ月経過したものについては、接骨院での健康保険が適応できません。※健康保険はケガの急性期を対象としているため。
当院では、後遺症は基本的にはり治療を行います。症状が固定していることが多く、はり治療の方がこのような場合、経過が良いためです。