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梅雨になると体調を崩す?
梅雨になると、なんだか体が重い…
ジメジメとした空気、急な気温の変化、なかなか晴れない空模様…。
梅雨の時期に入ると、「なんとなく体がだるい」「頭が重い」「やる気が出ない」といった、明確な原因の分からない不調を訴える方が増えてきます。
西洋医学では「気圧の変化による自律神経の乱れ」と説明されることが多いですが、東洋医学ではこの季節特有の体調不良を「湿邪(しつじゃ)」の仕業と捉えます。
このブログでは、東洋医学の視点から梅雨の不調の原因をひも解き、鍼灸でできる対策や、日常生活でのケアについてわかりやすくご紹介します。
東洋医学で見る「湿邪(しつじゃ)」とは?
「湿邪」とは、東洋医学における六邪(風・寒・暑・湿・燥・火)のひとつ。
特に梅雨のような多湿な気候では、この**「湿」が体内に侵入し、巡りを妨げてしまう**と考えられています。
湿邪の特徴は以下のように説明されます:
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重くて停滞しやすい:身体に「重だるさ」を感じる
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粘り気があり取りにくい:一度たまると慢性化しやすい
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下半身にたまりやすい:むくみ、下肢のだるさ
この時期に悪化しやすい体の部位は、消化器系の「脾」や「胃」。
食欲不振や胃もたれ、下痢など、胃腸の働きが落ちやすくなります。
梅雨に起こりやすい不調とは?
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身体の重だるさ・倦怠感
→ 湿邪による「気」の巡りの停滞、エネルギー不足 -
頭痛や頭重感
→ 湿気が上昇して「清陽の気」が頭に届きづらくなる -
むくみ・関節の重さ
→ 水分代謝の低下による「水滞(すいたい)」 -
食欲不振・胃もたれ・下痢
→ 「脾胃」が弱くなることで湿の排出が滞る -
気分の落ち込み・やる気が出ない
→ 「湿」は心身の動きを鈍らせ、「気滞」によって精神的にも停滞感を生む
鍼灸でできる!梅雨の不調対策
鍼灸は、「気」「血」「水(津液)」の流れを整え、内臓の働きを高める力があります。
梅雨の時期におすすめの鍼灸アプローチをご紹介します。
▶ ① 脾胃を元気にする
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足三里(あしさんり):胃腸を整え、体力を回復させる万能ツボ
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中脘(ちゅうかん):胃の働きを高める、消化不良に◎
▶ ② 体内の湿をさばく(水の巡りを改善)
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陰陵泉(いんりょうせん):体内の余分な水分をさばく代表ツボ
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三陰交(さんいんこう):女性の体調管理、冷え・むくみに効果的
▶ ③ 気の巡りをよくして心身の停滞を解消
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太衝(たいしょう):ストレス・気分の滞りを改善
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合谷(ごうこく):頭痛、首肩こり、全身の巡りを整える
これらのツボは、鍼だけでなく、お灸やセルフ指圧でもケア可能です。
お灸なら、火を使わないタイプも市販されているので、自宅で手軽にケアできます。
日常生活でもできる!梅雨対策のポイント
● 食事で「湿」を取り除く
湿を追い出す食材を意識しましょう。
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利水効果のある食材:はと麦、冬瓜、小豆、緑豆、とうもろこし
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脾胃を温める食材:生姜、ねぎ、味噌、鶏肉
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控えたいもの:生もの、冷たい飲み物、乳製品、脂っこい食事
● 湿気を避け、身体を冷やさない
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除湿機や換気を活用して室内の湿度を管理
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湿気の多い日は無理をせず、こまめに休憩を
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湯船に浸かって代謝を上げるのも◎(38~40℃のお風呂が理想)
● 適度な運動で巡りをよくする
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激しい運動でなくても、ストレッチやヨガ、散歩などで「気・血・水」の巡りを意識しましょう
おわりに:梅雨は自然の流れ、無理なく調和を
梅雨は、自然界が「潤い」を蓄える大切な時期。
私たちの体も自然の一部として、その変化に合わせて調整が必要です。
東洋医学は、季節ごとの体の変化に寄り添う医術。
鍼灸をうまく取り入れれば、梅雨の不快感を軽くし、心地よく夏を迎える準備ができます。
つらい不調を「仕方ない」で済ませず、体の声に耳を傾けて、やさしくケアしてみてくださいね。