その痛み『冷やした方がいい?』『温めた方がいい?』どちらにしていますか?
結構みなさん悩まれているのではと思います。
今回はこの問題に、目安を示せればと考えます。
温める?冷やす?どちらを選ぶべき
ほとんどの場合で、温めることが正しくなります。
しかし、冷やす(アイシング)を必要とすることがあります。
近年では、私がこの仕事に就いたころと基準が違い、これまでは冷やすタイミングが、今では温めるタイミングになっていたりします。
以前は、運動中に水分をとらないが、今では積極的にとるように変わったと同じです。医学の分野も研究が進み、いろんなことが解り、以前とは違うことが増えてきています。
温冷療法の役割
「痛みや辛さを楽にしたい」や「早く治したい」「早く普段の生活に戻りた」「部活をした」などなど症状の軽減と回復を早めることが役割です。
先ほども書いたように、基本的には「温めた」方が痛みの軽減や回復が早くなります。
「冷やす」ことは、タイミングが重要で痛みや回復のキモとなります。
つまりは、冷やすタイミングが難しいわけです。
温冷療法ではいくつか考慮しなければいけないことがあります。
それぞれの役割を以下のように書き出してみました。
温める役割
- 血液循環を促進
- 老廃物や疲労物質を排出を促す
- 関節のこわばりを解消
- 筋肉の柔軟性を上げる
- 身体の活性化
- ケガの予防
- 免疫力の向上
冷やす役割
- 血液循環を抑制
- 炎症を抑える
- 腫脹を抑える
- 痛みを抑える
これらを理解して、自分の状態から適した選択をしましょう。
今の症状の原因を知る
ケガ
ケガや腰痛・肩こりと状態により違いますが、ここでは、急性期の骨折や捻挫・肉離れなどは、損傷と言われるケガです。
体表からは解りにくいですが、キズがあると考えてください。
骨折では、下記とは別の基準となります。
初期(急性期)
ケガをした当初は、炎症が起こるでしょう。初期の段階は急性期といわれる状態で、熱を持ちます。
※医学的基準の程度分類とは違います。
- 軽症であれば、痛みも軽症で腫れもあまり見られません。炎症もごくわずかです。
- 中等症になると、痛みもあり腫れも徐々にみられるでしょう。炎症も起こしています。
- 重度になると、強い痛みを伴い、時には何もしていなくても痛い(自発痛)もあり、みるみるうちに晴れ上がります。強い炎症をおこし、赤みも強くみられるでしょう。
慢性期
ケガをおこしてから1週間適度経った時期で、完全に回復に至ってなければ、慢性期に移行し始めます。
腰痛や肩こり
急性期
ギックリや昨日まで痛くなかったが今日は痛みがある状態を指します。又は、いつもの痛みよりはるかに痛みが増した状態。
座っているのもつらい、仕事が手につかないや運動ができないと思われる急な痛み
慢性期
急性期の状態以外となりますが、説明します。
数週間より前や数日より前に出始めた痛みを慢性期とします。また、その日によって痛みに差があっても、日常生活を送れるくらいな状態を慢性期として括って問題ありません。
温めると冷やすのどちらを選ぶのか?
近年は、痛みや炎症に対して「温める」をメインに選ぶことが主流となっています。
だが、すべてを温めればよいわけではありません。「冷やす」タイミングを知ることが温冷療法を知ることにもなります。
冷やすべき時期
- 炎症を抑える目的では、一度だけ負傷して直ぐに氷嚢で冷やす。
- 負傷初期で、自発痛があれば1,2日冷やし、痛みを抑える。
- 熱感が強く、手で触れなくても熱いことが判る状態で、冷やすと「気持ちいい」と感じる状態。
ケガ
炎症を起こした初期に冷やす必要があります。しかし、炎症を起こしているからと言って、すべてを冷やす必要はありません。
先にも書いた指標でのケガで言えば、中等症と重症レベルの最初。中等症であれば、一度でも構いません。重症で自発痛が強ければ、痛みを抑えるために1,2日冷やすのも良いでしょう。中等症ではほとんど自発痛もないため炎症が起こるタイミングで一度冷やせれば、その後は必要ありません。
炎症が強く、熱感を感じ「ジンジン」や冷やした時に「気持ちいい」と感じる状態であれば、必要に応じて、数日冷やすことがお勧めです。
腰痛や首の痛み
急に出た痛みは、痛みを抑えることを目的に冷やします。そのために「ジンジンとした耐え難い痛み」の場合は、冷やします。また、冷やして不快であれば注視してください。
保温すべき時期
ケガ
冷やすでもなく温めるわけでもない時期が必要です。これは、冷やした後にしばらく設けるとよいでしょう。
中等症などで、冷やし終わってから1,2日は冷やさず温めずで、保温を意識することがお勧めです。
夏場は意識するあまり必要がないでしょうが、冬場で痛めた場所によっては、冷やしてもないのに、冷えることがあります。時期と部位によっては自然に被やることを避けるように注意が必要な時期。
腰痛や首の痛み
動いたときに痛みがあるが、座っていたや横になると痛みがない状態で、日常生活を過ごすには辛い状態なら、冷やさずに温めずに保温を選択すべきです。
温めるべき時期
慢性期はすべて温める時期です。
ケガ
急性期でも炎症反応が強くない軽症では、炎症反応が落ち着いてタイミングで温める方が回復が早くなります。腫れの程度で言えば、左右を見比べて腫れている程度なら、温めた方が改善が早いです。
腰痛や首の痛み
しばらく続く痛みには、温めた方が症状の改善し易いです。
ギックリ腰でも、症状が軽い痛みがで、2,3日経過後からは温めた方が改善が早いです。
上記にある保温の状態でも、2,3日経過している場合は、温め始めた方が改善が早いです。
冷やし方と温める方法
冷やし方
氷嚢
専用の袋で氷と水を入れ、空気を抜いて使います。
冷やすのには最適で、凍傷の危険も少ないく時間をかけることで、身体の深くまで冷やすことができます。
袋状なので、患部の場所によっては固定が難しく、何かの紐やベルト・タオルなどで固定が必要
氷が大量に必要となるので、家庭では準備が必要となります。
ビニール袋に氷と水
最も簡単に用意できるのではないでしょうか?
氷嚢とほぼ同じですが、タオルを一枚当てないと、冷たすぎます。
氷と水の分量を水多めにすることで、凍傷の危険がなくなります。
湿布
ここでのアイシングには、正直向きません。炎症が強い時に効果が弱すぎます。
しかし、時間や姿勢に制限が氷嚢よりないために、何かをしながら冷やす時には最適です。
腰痛などでコルセットをしているときにも向いています。
冷えピタ
湿布と同様です。
保冷剤
応急処置としては良いと思いますが、お勧めできません。
種類が多く、取り扱い方がそれぞれ違います。
物によっては凍傷の危険もあります。硬いものは、皮膚を冷やすのには向かず、柔らかいものは持続時間が短すぎます。
温め方
お風呂(入浴)
温めるには最適です。身体のどの部分でも温めることができます。
いつでも入るわけにはいかないのが難しいところ。
カイロ
温めるためには、向いています。
低温火傷に注意が必要で、患部と衣類などで圧迫される部分には向きません。
温湿布
温めることには向きません。温湿布の多くが唐辛子成分で熱感を感じさせているので、実際に温めているというより、刺激を加えて温めているため、かぶれやすさが難点です。
レンジで温めるホットパック
患部を温めるのに向いています。自宅であれば手軽に扱えます。
種類によっては、ベルトが付いたものもあるので、勝手が良いです。
まとめ
ある程度、体温が高い方が痛みや回復が向上します。そのため、平常時の体表温度を求めずに、温熱を加え体温を上げることが、痛みや回復が早まります。
患部の血液循環を向上させることは、ケガであれば血小板やマクロファージが活発になり回復を促進します。このことが理由で、軽症の損傷でも初期の段階から温めをするわけです。
腰痛や肩こりでの痛みでは、血液循環を改善で、酸素の供給が満たされ、老廃物の排出が進み痛みが軽減します。
冷やす必要がある場合は、炎症反応が活発過ぎ、体温調節が高すぎることがおこります。高すぎると身体の活性が落ち、回復を遅らせる原因となります。腫脹(腫れ)も強すぎると、パンパンの水風船のようになり、患部の循環を悪くします。その部分を抑えるために、冷やすことが必要になります。
この内容が「目安」なのは、状況により使い分ける必要があるためです。「温めると冷やすのどちらを選ぶのか?」は批准であり、絶対ではありません。
「温める」「冷やす」は、身体の状況を見て選択するようにしてください。